トルコ:エルドラン政権、女子大生のスカーフ使用禁止廃止法案を提出
トルコのイスラム系政府は、大学におけるスカーフ使用禁止を撤廃するための憲法修正に動いている。反対派はそれを、ゆくゆくは高等教育の場を超えてイスラム原則を導入し現在の世俗体制を覆すつもりではないかと恐れている。これに対し、禁止撤廃の支持者は、西側大学において享受されている表現の自由へ向けての第一歩と主張している。
与党である構成発展党(AKP)は、禁止撤廃のため民族主義行動党と連携。両党合わせると、賛成票は可決に必要な367票を優に超える410票となる。実際、同法案は既に緊急法案として議会委員会に提出されており、10日以内に採択される模様である。
トルコ建国の父ケマル・アタチュルクが創設した主要野党共和人民党(CHP)は、憲法裁判所への異議申し立てにより法案無効を図るとしている。また、首都アンカラでは2月2日、10万人規模の抗議デモが行われた。
かつてはイスラム党の強硬派であったエルドラン首相は、「同措置は、女子大生に対する差別を撤廃するためのものであり、彼らの大学教育に対する権利は保障される」と述べている。
これに対し、リベラル派評論家メーメト・アリ・ビランド氏は、「真の脅威は、公務、初等/中等教育、病院、司法の場に“スカーフを被る自由”が広がり、ターバンを巻いた裁判官、検事、医師が登場することである」と語っている。また、イスタンブール大学理事会は、「宗教の自由に名を借りた政治的利権および選択で、大学の科学的自由が侵されることは受け入れがたい。トルコの社会秩序を脅かす者達を見過ごしにしてはならない」との声明を発している。
ビジネス/産業界および女性企業家協会は、「政府は、EUが要求している人権改革を犠牲にしてスカーフ問題に集中している。世俗体制が揺らいでは、EUの反トルコ感情を強めるだけだ」と批判している。トルコの女子大生のスカーフ使用禁止令廃止に関する諸意見を紹介する。
最近のコメント